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令和2年度決算特別委員会 交通局

新型コロナウイルス感染症の影響を最も大きく受け、深刻な経営状況に陥っている交通局に対し、多岐にわたり質問しました。

 

まずは、いかに乗降客数を増やすかという観点です。

定期券を利用するお客さんは、交通事業の根幹であり、お店でいうところの「常連さん」です。観光客の回復や、定期券利用者ほどではないものの利用頻度が高い向けのサービス(令和5年からポイント制度がスタート)も大切ですが、交通事業者としては定期券利用者の確保・増加は欠かせません。

しかしながら、コロナ禍を契機としてテレワークが導入されるなか、今後どの程度定着するかは未知数ではあるものの、定期購入者の減少に結びつくことは避けられず、交通事業者としては頭を悩まされているのが現状です。

その中で、これまでから定期利用客の減少を課題としてきた関東の私鉄・東急では、定期券利用に付加価値を持たせるサブスクリプション型サービスの実証実験が始まっています。ただ単に移動する、通勤するのではなく、他のサービスが利用できることにより、利便性が向上する、または私生活が豊かになることで、定期券利用者を回帰、増加させることが狙いです。ホテルや飲食店など、駅周辺のグループ会社が経営する施設との提携サービスが多いため、そのまま市バス・地下鉄で導入できるものではありませんが、定期券に付加価値を持たせるという視点から、駅ナカや駅近の施設と協力したサービスを検討することは重要だと考えます。

サブスクリプション、いわゆるサブスクは近年ビジネスモデルとして様々な業種で注目されていますが、「一定期間、定額で利用できる」というのが基本であり、その意味で定期券や一日市バス・地下鉄乗り放題券などもサブスク型サービスですから、交通とサブスク型サービスは非常に相性がいいことは既に証明されています。交通✕サブスクは世界で研究されているテーマでもありまから、これからも新たなサービスの提案を続けていきます。

また、根本的に定期券の利用者を増やすためには、沿線に居住者や企業が増えなければなりません。地下鉄沿線、とくに東西線沿線の発展に向け、都市計画局や産業観光局など全市的に歩みを進められるよう、交通局が主体性をもって取り組むよう強く求めました。

 

また、定期券利用者が重要であるとはいえ、観光客の利用増も経営改善には必要です。「一見さん」も「常連さん」もどちらも気持ちよく利用できなければなりません。

経営健全化の取組みの中で、観光客に人気の高い、一日券等の値段が改定されることになります。もちろん、誰しも値段が安い方が嬉しいのですが、観光客にとっては数百円の値上がりが致命的に利用離れになるということはないでしょう。毎日のように市バス・地下鉄を利用するわけでない観光客にとって重要なのは、多少のコストの差よりも、いかに便利に効率的に京都観光を楽しめるかというところではないでしょうか。一定の料金改定はやむを得ないものの、観光客が公共交通を使って快適に京都観光が出来るよう、サービスの研究を更に行っていくこと、具体的には、例えばシェアサイクルの利用券をプラスするなどについて求めました。

 

令和2年度の決算では、市バスが48億円、地下鉄が54億円という、今までの状況をすべて吹き飛ばすような途方もない経営悪化が見られます。

近く3回目が実施される経営ビジョン検討委員会においては、現況に鑑み、運賃の値上げを行わなければ短期もしくは中期的に倒産に陥る危険性が高いとされています。

一議員として、また会派として、「市民のあし」である市バス・地下鉄の運賃値上げに対しては、極めて慎重であるというのが第一です。まずは経費削減など、経営努力を突き詰め、運賃改定は最終手段であるべきです。

他方で切に感じるのは、少なくともこれまで行われてきた経営努力について、市民理解が得られていないということです。例えば、よくご指摘いただく市バスの運転手の方の給与は、すでに4割近くカットされ、民間並になっています(経営難だから、もっとカットした方がいいというのは別の話として)。また、企業債の借り換えなど、専門的な取組みはそもそもご理解いただきにくいものです。

また、地下鉄の利用客が少ない時間帯を、もっと便数を減らした方がよいとの指摘をいただくことがあります。私もそのように思っていた一人ですが、実は、路線が単純で急行などもない地下鉄においては、便数を減らしても基本的には電気代の削減(1往復で約5000円、年間で170万円程度)しか出来ず、減便による利用客減のリスク、運輸局への届け出などのコストと比べるとあまり効果的ではないとされています。

しかしながら、市民に対する「経営努力の見える化」は必要不可欠であり、減便についても、その点では一定の効果があるかもしれません。

公益性の高い公営企業としては、経営という観点のみから考えることは出来ません。経営努力→市民理解というステップを踏まえた上で、検討を進めることを求めました。

 

次に、民間バス事業者とのバス停の共用について要望しました。

かつて、京阪バスのある系統について、京都駅付近で市バスとバス停が共用出来ないか、という要望をいたしました。その後、残念ながら共用は叶わず、更にコロナ禍の煽りを受け、結果としてその系統は廃止されることとなりました。

交通局も民間事業者もともに経営が苦しい中、「市民のあし」を守るという共通理念のもと、協力し合っていくことをあらためて求めました。(バス停の共用については実現した箇所もあるのですが、個別の事情があり、難しいケースが存在するのが実情です。)

 

最後に、スマートホンを使った乗車システムの研究について提案しました。

現在、京都市では京都独自のICカード導入の検討が進められていますが、日進月歩でデジタル化が浸透する中で、5年長くても10年のうちには、ICカードや紙の乗車証は少数派になり、スマートホンを使った乗車が多数派を占めるのではないかと考えます。実際、私は普段地下鉄等を利用する際にはスマホを改札機にかざしています。

また、スマートホンを利用した場合には、携帯端末から定期や一日乗車券などの企画乗車券を契約することも出来、市民はもとより、観光リピーターにも非常に便利です。

デジタル化やキャッシュレス化を取り巻く状況は、未だ未知数な部分も多く、またデジタル端末に不慣れな方への配慮もあることから、今後の動向は分かりませんが、時代の潮流をしっかり見極め、サービスを研究する必要性を求めて、約30分の質疑を終わりました。

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