まずは民間活力の導入について質問しました。
上下水道の使用量収入は右肩下がりであり、とくに令和2年度には新型コロナウイルス感染症の影響により、事業者の使用量が激減したため、大幅に予想を下回りました。
厳しい経営環境を改善するためには事業の効率化が求められており、中期経営プランには、民間活力の導入が柱の一つとして掲げられています。令和2年度だけでも、松ヶ崎浄水場の運転管理業務や、伏見水環境保全センターの保守点検業務、きた上下水道管路管理センター西部支所の管路維持管理業務等の委託化が行われました。
水道事業の根幹に関わる業務は引き続き直営で実施しながら、「民間で出来ることは民間で」との考えから、民間移管が進められ、一定の経費削減効果が生まれています。
他方で、宮城県で導入されているコンセッション方式についての考え方を聞きました。上下水道局としては、①導入しても運営事業者へのモニタリングを適切に実施する必要があること、②災害時の官民の役割分担を明確にして、危機管理体制を維持する必要があること、等の課題があることから、調査研究は行っているものの、現時点ではコンセッション方式を導入する考えはないとのことでした。
また、民間事業者への委託についても、災害時の対応については注意が必要であり、その点も確認しました。
ライフラインである水道を維持するため、業務の効率化を進めながら、公営企業としての責任を果たす運営を継続することを求めました。
次に、広報と市民理解について質問しました。
上下水道局の経営状況も厳しく、また全市的な財政危機が伝えられるなかでは、市民の皆さんの事業を見る目が厳しくなっています。近年、上下水道局では老朽化した水道管の更新に力を入れていますが、ややもすれば、無駄な工事を行っているのではないか、と疑われることになってしまうのです。
先日、和歌山市で水道橋が崩落し、現在も断水が続いていると報じられています。断水が継続すれば、市民の生活、いのちが脅かされることになり、あらためて老朽施設を検査・更新すること重要性が再認識されることになっています。
先ほどのコンセッション方式の導入と併せて、水道の民営化が議論されて久しいですが、あらためてライフラインを守るという、極めて重い公的な責任を担う水道事業については、公営でやるべきではないかと思っています。民間活力の導入や、民間視点の経営を行い、業務の効率化は進めていくべきですが、民間事業者が利益を追求して経営すれば、①料金②老朽施設の更新、と少なくとも2点において重大な課題が生まれるように感じます。
水道事業について、より市民理解を得るために適切な広報発信が求められます。
他方で、全市的な財政危機の折、従来通りの広報を続けてしまえば、市民からは「のんき」に受け取られてしまうのではないかと危惧しています。
もちろん、市民に伝えるべき情報はありますので、すべて止めろというわけではありませんが、広報の在り方については注意と工夫が求められます。
例えば、これまでから水需要の喚起が行われてきましたが、使用する広報媒体や、広報主体を考えなければ、効果を得ることは難しいように思います。水道水を売っている上下水道局から「水道水を使ってください」といわれても、自身のライフスタイルを変えようと思う方は少ないのではないでしょうか。賛否があり、京都市においても物議を醸したことがありますので、運用は慎重に行わなければなりませんが、水道水の需要喚起にはインフルエンサーマーケティングの手法が有効ではないかと考えます。理論的に水道水の良さを伝えるのではなく、多くの市民に影響力をもつ人物(インフルエンサー)で、かつ普段から飲料などとして水道水を活用している方から発信することで、水道水についての考え方が変わるきっかけになるのではないでしょうか。水道水は飲むものではない、とある種の誤解から決めつけている方も多いように思います。何を、どうやって、伝えるかだけでなく、誰から伝えるか、を検討することで効果的な広報が実施出来るよう、水道局のみならず、求めていきます。
次に、細かなことですが、上下水道局が持っている土地について質問しました。
これまで、水道局だけでなく、京都市が所有する未利用地は売却などにより活用が進められてきました。しかしながら、山間部であったり狭小であったりと利活用が難しい上下水道局所有の土地において、樹木がのび放題になっている、ゴミが放置されているなどの問題があると、近隣の方からの相談を受ける機会が度々あるのです。
利活用の難しい土地は、一定の価格で売却することが難しいため、土地を処分すると各種手続きなどにコストがかかり、かえって赤字を生むことになりかねません。
しかしながら、たとえ赤字となっても、土地を放置することの将来的なリスクや管理コストと天秤にかけて、積極的に近隣住民や地域との話し合いのなかで、手放していかなければならないと考えます。場所によりケースバイケースになりますので、各所における細やかな対応を求めました。
その他、上下水道局所有の車両のリース契約について、効果や効率性を確認し、約30分の質問を終えました。