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民主市民フォーラム京都市会議員団の小島信太郎です。会派を代表いたしまして、天方浩之議員ともに質問いたします。
昨年4月に山科区民の皆様より信託をいただき、初当選を果たすことが出来たこと、本2月市会において代表質疑の機会に恵まれたことに感謝するとともに、あらためて責任の重さを胸に刻むところです。
質問に先立ちまして、新型コロナウイルス感染症対策について要望します。市長選挙の終盤、市内初の感染者が確認され、門川大作京都市長の陣頭指揮のもと、府・市連携による、迅速な対策がとられました。その後、京都マラソンも大きな混乱なく無事に開催することが出来る等、この間の対応を会派として評価します。
しかしながら、感染症対策は今が正念場であるとされ、予断を許さない段階にあります。昨日には、政府より全国の小中学校、高校、特別支援学校を春休みまで臨時休校とするよう要請があり、生徒・保護者はもとより市民生活全体に対して重大な影響が懸念されます。本市における混乱が過大にならないよう、市民の冷静かつ的確な感染症対策の広報・啓発、感染症の拡大防止と経済等への影響軽減に向けて、引き続き不断の取り組みを要望します。
始めに、地域コミュニティ、とくに自治会・町内会の活性化について質問いたします。
本年1月17日、阪神淡路大震災が発生してから四半世紀・25年の節目を迎えました。
私は当時まだ8歳でありましたが、震災の恐ろしさは強烈な記憶として残っています。あらためて、お亡くなりになられた方々に心より哀悼の意を表します。阪神淡路大震災において、残念ながら命を失った方の4人のうち3人は、倒壊した建物や倒れた家具等による圧死でした。一方で、同じく下敷きの被害にあった方で、一命を取り留めた方のじつに77パーセントは、ご家族もしくはご近所の方によって救助されたことが明らかになっています。災害の現場で大切な命を守る要として、地域コミュニティ、地域の絆が最も重要な役割を果たしたと言えます。
これまで本市では、平成24年4月に施行した京都市地域コミュニティ活性化推進条例に基づき、同5月に計画を策定、地域コミュニティサポートセンターを設置するなど、自治会・町内会の活動支援に精力的に取り組んできました。しかしながら、全市の推計加入率は計画策定時の約70パーセントから、平成30年度には67.7パーセントと微減しており、数値目標として掲げた77パーセント達成から遠のいているのが現状です。
町内会のルーツは、戦前の隣組制度であるといわれていますが、当時の隣組に課せられていた主たる役割、すなわち住民同士の監視という役割は、もちろん現代の町内会に受け継がれていません。自治会・町内会は行政の末端組織や下請けではなく、地域の自治組織として積極的な意識・姿勢で行政と協働し、みんながみんなのために活動し共に受益し合う社会の理想を実現する最少単位のコミュニティであるべきです。
本市として、令和という新しい時代、また「京都市地域コミュニティ活性化推進計画」の次期改定を目前に控え、これからの時代に求められる自治会・町内会のあり方を市民とともに考え、自治会・町内会の活性化、加入促進に向けて、一層力強い支援を進めていかなければならないと考えます。
計画の策定以来、最も喜ばしい傾向のひとつとして、「転入者や未加入者に加入を呼び掛けている」と回答した自治会・町内会の割合は、平成26年の調査の52.0パーセントから平成30年には80.1パーセントと大幅に上昇していることが挙げられます。
献身的な加入の呼び掛けにより新たな世帯の加入が進む一方で、まさに門前払いで加入を断られた町内会長の声など、地域では加入促進に苦慮する声をしばしば耳にするのも事実です。例えば、若い世代の情報源となるインターネット上には、様々自治会・町内会を批判・否定する辛辣な意見が多く存在しています。インターネット上に限らず、蔓延る痛烈な否定論を払しょくし、加入促進をすることは容易ではありません。
冒頭、災害時における地域コミュニティの重要性について申しあげました。本市では、これまで条例の施行、計画の策定、ならびにアンケートの実施を通じて、地域コミュニティ、自治会・町内会について調査・研究を行ってきました。その成果として、自治会・町内会の魅力や機能、重要性、また市民がどういった役割を求めているのか等について、あらためて本市としての見解をお聞かせください。
自治会・町内会に対する否定論を打ち消し、加入促進を支援するために明快な答弁を期待します。
また、実際に加入の呼び掛けをする際には、啓発チラシを利用するのが効果的です。各行政区、または学区自治連合会が作成したチラシを用いるケースも多くありますが、本市として自治会・町内会の加入促進の取り組みをバックアップするために、先の答弁の内容を盛り込み、今一度、より啓発効果の高いチラシの作成を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
自治会・町内会の加入率の増加を妨げている要因として、加入者の退会があります。これまでのアンケートから、主な退会理由として、「役員をやりたくない」という答えが挙げられています。
加入促進を進める上で、町内会長はじめ班長もしくは組長など役員の負担軽減と、組織の効率化を考えなければなりません。
役員の負担を嘆く声がある中で、空き家の増加、高齢化、未加入者の増加等により、役員のなり手がごく僅かな世帯に限られ、毎年のように役員を担当しなければならず、年々住民が疲弊していく、いわば「限界自治会・限界町内会」が存在しています。存続が危ぶまれる状況からの打開策として、近隣の自治会・町内会との合併を検討するケースがありながら、実際に合併するには障害が立ちはだかります。とりわけ、これまで各会が積み立ててきた会費の取り扱いが大きなハードルとなるといわれています。
自治会・町内会の合併における、住民間だけでは解決しがたい課題に対して、住民が「限界」を迎える前に、本市として一定明確な提言が出来るよう研究する必要があると考えますがいかがですか。
地域の自治組織である自治会・町内会と行政をつなぎ、また唯一行政からの委託を受けて活動するのが市政協力委員です。これまで、ポスター掲示や回覧チラシについて負担軽減が取り組まれてきましたが、委託される活動の大部分を占めるのが市民新聞の配布であり、
全市版と区民版の市民新聞を毎月2度にわたり各町内全世帯に配布することは市政協力委員の大きな負担になっているのは間違いありません。行政と地域の架け橋である市政協力委員の活動に対する
理解を深めるためにも、市民新聞の配布については、市民版と区民版の配布を一括で済ませられるよう発行時期を調整することや、市民版と区民版の発行回数を隔月にするなど、大幅な負担軽減に取り組むべきと考えますがいかがですか。
市政と地域コミュニティは京都市の発展、地域の活性化を担う車の両輪です。自治会・町内会の活性化支援に向け、一層真剣な取り組みを願います。
次の質問に移ります。2月9日の毎日新聞紙面に、少子化対策として、将来的に児童手当を拡充し、第1子に月1万円、第2子に3万円、第3子に6万円、つまり子どもが3人いる家庭には計10万円支給するというアイデアが政府内に浮上したという記事が
掲載されました。現在の児童手当の給付総額を大きく上回る財源を必要とするなど、実現性の有無や、そもそもの政策の是非は別としまして、2019年に生まれた子どもの数が統計開始以来最少の推計89万400人と落ち込むなか、異次元の子育て支援政策が必要であるという認識が広がることを期待いたします。
本市では、「子育て環境日本一」を掲げ、国定義の待機児童ゼロの継続に向け、次年度の予算案には令和2年度4月の242人の受入枠の拡大、さらに令和3年度以降に400人分の受入枠拡大に向けて保育所等を整備すべく10億1900万円の予算を計上する他、深刻化する保育士確保事業の充実、これまでから50億円の一般財源投入により、国基準1.33倍の保育士の配置、全国平均の1.34倍の処遇改善を実現するなど、厳しい財政状況のなかでも子育て環境の充実に注力をしてきました。
自治体における子育て支援は、単に出生数・出生率の増減に繋がるだけでなく、子育て世代の転入・転出に大きく影響します。各自治体において子育て支援が積極的に取り組まれる中、これから親元を離れ、結婚して子育てをする若い世代は、近隣自治体の子育て環境を注視し、定住地を選択しています。結果として、子育て支援に手厚い自治体は若い世代の転入が増え、子どもの数が増え、将来にわたる好循環が期待できる一方で、子育て支援が薄い自治体は若い世代が転出し、子どもが減り、現役世代が加速度的に減り続けるという悪循環に陥ります。子育て支援の在り方で自治体の将来は正反対の道筋を辿るといっても過言でありません。
異次元の子育て支援が求められるなか、本市においても徹底した取組が必要です。しかしながら、本市の子育て環境における最たる課題は、子育て支援にかける財源、また待機児童ゼロの継続をはじめとする成果に対して、市内外における評価が伴っていないことだと考えます。京都で子育てをしたいと思ってもらえる環境を整えることはもちろん、市内はもとより市外の子育て世代から評価されることによってはじめて、子育て政策は京都市の成長戦略となります。予算に見合った子育て支援に対する評価を得られるよう、情報発信に努めていかなくてはなりません。名も実も伴った「子育て環境日本一」に向け、
あらゆる情報発信の方法を検討する覚悟が必要と考えますがいかがでしょうか。
また、本市の子育て環境を発信する上で、京都ならではの魅力ある支援や特典を設けることで、子育て世代の目を本市に向けることはできないでしょうか。9月市会では、大阪・池田市の子育て特典を紹介しました。第3子が生まれた世帯には、池田市内に本社をおくダイハツ工業の協力のもと、1年間無償で自動車をリースするというものです。子育て家庭にとって嬉しい支援であることはもちろん、ダイハツ工業にとっても自社製品をPRすることが出来、双方に一定の利益がある支援形態であるといえます。
本市で子育てをする魅力を発信するため、
ふるさと納税の返礼品としても注目される京焼・清水焼をはじめとする伝統工芸、市内に拠点をおく企業や大学、さらには社寺仏閣等と、一定Win-Winの関係のもと連携し、本市ならでは子育て支援・特典の実施を検討するべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、「子育て環境日本一」を目指す本市として、児童虐待の防止に取り組んでいかなければなりません。
わが会派においては、児童虐待への対応強化について予算要望に盛り込み、児童相談所の体制強化や警察等関係機関との連携について強く要望してきました。本市では、これまでの取組みに加え、令和元年度には児童相談所ならびに各区役所・支所における大幅な体制強化が図られるとともに、令和2年度には、警察や近隣住民が寄せる通告への対応を専任で行う 職員を新たに配置するなど、児童相談所の体制強化 ならびに関係機関との連携強化に取り組んできました。
一方で、この間、全国で発生した児童虐待事件への関心や、啓発活動の効果により、平成26年から平成30年の4年間で児童虐待の相談・通告件数はおよそ1.55倍、認定件数は1.75倍に急増しており、それに伴い児童相談所の業務は増え続けています。常に現場の声を聞きながら、業務量の増加に体制強化が追いついているのか、児童相談所が適切に運営されているのか、絶えず多方面から検証する必要があると考えます。
本市として、種々の児童相談所ならびに関係機関の体制強化策の効果の検証、ならびに児童相談所の運営の評価について、今後どのように取り組んでいく必要があると考えていますか。お答えください。
令和2年4月には、「しつけ」を名目とした体罰の禁止や、児童相談所の機能強化策が盛り込まれた改正児童虐待防止法が適用されます。改正法では、児童相談所は虐待した保護者に対して医学的・心理学的指導を行うよう努めるとされています。本市児童相談所ではこれまで、虐待を行った保護者に対して、児童福祉司の専門性を高めるため研修を実施する、また虐待をした保護者の支援プログラムについて専門性を持った外部団体に委託するなど、虐待の再発防止に努めてきました。しかしながら、2017年の国際NGO団体の調査では、約6割の日本人がある程度の体罰を容認している
ということが明らかになっており、あくまで「しつけ」であり「体罰」であると主張する保護者が虐待を繰り返さないよう支援を行うことは決して容易でありません。専門的かつ効果的な虐待再発防止に向けた対策、支援プログラムが必要であると考えます。
法改正に伴う、これまで、また今後の本市における虐待した親に対する支援の方針についてお聞かせください。
全国的に虐待の認定件数は増加しているなか、死亡事件など危険な虐待は減少傾向にあるとされています。しかし、本市の宝である子どもの命は、誰一人奪われることを許してはなりません。今後とも、虐待の防止に向け、全力の取組みを期待し、切に願います。
最後に山科区における要望をいたします。
これまでから、バス利用環境において、市バス運行エリアと山科をはじめとする民間バス運行エリアにおいて格差が生じていることが課題とされてきました。
まず、バス待ち環境について、これまで民間バス事業者との協議のもと、一定整備が進められてきたところでありますが、周辺バス停留所との格差など、今なお区民からの相談・要望は尽きず、バス待ち環境の一層の整備拡充のための支援を求めます。
また、9月市会の市長総括においても求めてきました、京阪バス308系統「西本願寺清水寺ライン」の京都駅周辺におけるバス停留所をはじめ、市バスとの停留所の共同利用促進についても、バス利用者である市民の利便性向上のため、引き続き前向きな協議を求めます。
さらに、盛んな地域主体のモビリティ・マネジメントが大臣表彰の受賞に結びついた鏡山地域循環系統バスを はじめ、くるり山科、小金塚地域循環バスの3路線について、実証運行から本格運行への移行、そして増便要請に対する検討など、一層の取組みを求めます。
民間バス運行エリアの交通利便性の向上に向け、本市の献身的な連携・支援を要望し、質疑を締めくくります。
ご清聴ありがとうございました。