国内では新型コロナウイルス感染症、国外ではロシアによるウクライナ侵攻と、内外とも憂慮すべき事態が続いておりますが、今後の市政運営を見通す上で重要なテーマが2月市会で議論されました。
とくに、若年・子育て世代の市外流出は致命的な課題であり、放っておけば人口減少と少子高齢化が進行するなか、持続可能な市政、全ての世代が支え合う福祉を維持・発展させるためには、若い世代に「住みたい、住みやすい」と選ばれる都市を目指さなければなりません。
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京都市ではこれまでから、国基準の「待機児童ゼロ」の8年連続達成や、手厚い保育士加配など、実質的な子育て環境の向上に取り組んできましたが、若年・子育て世代から「子育てがしやすい」というイメージの獲得に至っているかを検証しなければなりません。残念ながら、前号に記載の通り、行財政改革が、疑心暗鬼や誤解も含めて、負のイメージの伝播に結びついているなかで、イメージを一新して、子育て環境向上のために京都市がこれから何を行うかを示さなければなりません。その上で重要なのは、子どもや保護者にとって、直接的に受益感のある支援を行うことです。昭和45年には約2万5千人だった市内の出生数は、現在、年間9千人程度まで減少しています。対象者は決して多くなく、第2子、第3子と条件を設けることで、更に少なくなります。数少ない、京都の宝である子ども、その保護者に対し、京都市独自の給付を行うことは、決して大きな予算とならず、京都市で子育てをする魅力や関心を増進するイメージ戦略として有効なはずです。また、企業・大学の協力等も積極的に求めていくべきです。
行財政改革は歳出削減だけで無く、削減された予算の一部を、重点となるべき施策に付け替えるまでをゴールとしなければなりません。今必要とされる施策について、子育てのみならず、今後も求めてまいります。
山科の魅力を深掘りするブランディング事業の誌面
明治期、山科に京阪電車が開通した際、産業振興も合わさり、沿線の人口が4倍から9倍に増加したという興味深い資料を拝見しました。
もちろん時代背景が違うので、同様の人口増加を求めるわけではありませんが、地下鉄東西線の開通は、沿線地域の発展にどれだけ寄与したでしょうか。地下鉄建設により、利便性を向上させ、沿線の発展を生み出すことを目指さなければ、膨大な建設コストに見合いません。
「古都・京都」としての景観・歴史・文化を守るべきことはもちろんですが、「古都・京都」と京都市という自治体の範囲が異なっていることも事実であり、市内一円に画一的な規制をかけることは合理性を欠きます。現在、その不合理の象徴となっているのが、他の自治体との境界エリアです。他の自治体側に高層マンションなどが建ち、景観が失われながら、得られるべき固定資産税も失い、人口流出も加速するという三方悪しというのが現状です。
地下鉄沿線をはじめ、各エリアにふさわしい発展が目指せるよう、都市計画の観点から取組みを進めなければなりません。京都市では都市計画マスタープランの改定や、審議会の運営など取り組まれていますが、山科区、京都市東部エリアが、住みやすいまちとしてのブランディングを確立し、発展を遂げることの重要性を引き続き強調してまいります。
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