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市長総括質疑

〇令和5年度予算と今後の改革
 今予算の最も大きなポイントは、22年ぶりに収支均衡を達成したことです。令和3年度予算では、236億円の歳入不足が措定されていたところから、行財政改革による64億円の歳出削減に加え、想定外の税収増と交付税の増加により172億円の歳入増が見込まれることで、歳入と歳出が均衡し、赤字補填のための特別の財源対策から脱却することが出来ました。多額の赤字により、多額の公債償還基金の取崩しが行われることこそ財政難の根源ですから収支の均衡は大きな成果と評価出来ます。
 しかし今後を見据えると、税収の維持、交付税の確保には不安定要素が多く、またこれまで取り崩した505億円の基金を積み戻す必要もあり、まだまだ財政を正常な状態に戻すには厳しい姿勢で改革が求められます。
 また、改革に対する市民理解の醸成は一層難しくなると言わざるを得ません。「財政破綻を回避するために」負担にも理解を求めてきたところですから、財政の回復を発信する一方で改革を継続することは説明が複雑になります。
 市民理解を進めながら、改革を貫徹するには、歳出削減ではなく新たな施策に予算を付け替える、削る方に目が行くのではなく、出来るようになったことに注目される改革にしなければなりません。求められる施策を実施するための予算をどのように捻出するか、施策の見直し、再構築を進める、前向きな改革を徹底しなければなりません。
 昨年9月市会の代表質問では、保育所等に対する補助金の見直しによって捻出された13億円については、出来れば全部、同じ子育ての施策に付け替えるよう求めました。今予算では、子ども医療費助成の拡充(1医療機関あたり月200円)が示されており、その市の負担額が13億円とされています。
 保育士の処遇改善については新たな制度構築をしていかなければなりませんが、昭和47年の開始以来、使途や目的があいまいになっていた補助金を見直し、子育て世代を直接支援する施策に予算を付け替えることについては多くの理解が得られるはずです。
 同時に、補助制度については、保育士等に対して、直接給付できる制度の構築を求めました。保護者に対しても、保育士に対しても、直接敵に施策の恩恵が伝わる制度を目指すべきです。
 更に、改革に対する市民理解を求める上で、職員の給与カットにより財政調整基金に積み立てる50億円について、物価の急高騰に苦しむ市民の支援に用いるべきだと主張しました。
 答弁にもあったように、財政調整基金は災害などのやむを得ない状況で取り崩すべき基金でありますが、現下の物価高騰は数年どころか数十年レベルの異例の状況であり、生活への影響は災害級であること、加えて、職員の給与カットは改革に対する市民理解を促進するための取組みであり、困窮する市民に対する支援に財源を活用することが本意ではないか、と訴えました。
 前向きな改革を貫徹しながら、集中して市民理解の醸成に取り組むことが今後の市政運営に求められます。
 
〇移住・定住プロモーション事業
 今予算では、人口減少、とくに若年・子育て層の市街流出を最大の課題として対策が示されています。若年層の流出が進めば市内の人口構成がさらに乱れ、現役世代が目減りすることで、福祉施策の維持が一層困難になります。人口減少対策は喫緊の課題であり、どこまで徹底して、効果的に取り組むことが出来るか検証し、求めていかなければなりません。
 京都市ではこれまでから、「住むなら京都」というポータルサイトを運用してプロモーションを続けていますが、来年度はその取組みを拡充するとしています。
 その上で、私から重要だと求めたのは、魅力発信をする際に、自画自賛の「わがまち自慢」に終始しないようにという点、もう一つは、移住・定住を考える際に、京都市の課題点を明確化することです。
 課題を明確にし、その課題・ハードルを取り払うことで移住・定住は促進されます。京都市に住むハードルの一つとして、答弁からも浮かび上がったのは住宅の確保です。市内中心部では地価が高騰し、また狭小な住宅が多いなどの課題があり、住宅の確保として注目されるのが山科をはじめとする市内周辺部です。
 今後、都市計画の見直しにより、それぞれのエリアに応じた発展のポテンシャルが活かされる素地が整うことに加え、交通局、産業観光局、疎水に関わる水道局、教育委員会、子ども若者はぐくみ局など、局を横断的に山科・京都市東部エリアの発展の旗を振るように強く要望しました。
〇子ども達と文化芸術との出会いの促進
 京都市で子育てをする魅力を感じていただくため、京都の強みである文化芸術とのふれあう機会を増進するとされています。
 これまでから、子育ての負担軽減をする直接支援の充実に加えて、京都市ならではの支援を研究・実施することを求めてきました。
 検証すべきは、子育てをされる方々が、文化的な経験を求めているのか、という点と、子どもだけでなく、保護者を巻き込んで体験していただくことです。
 子育て施策は子どもだけでなく、保護者が効果を実感していただくことが肝要です。人口減少対策とするならば、実際に居住地を選択する保護者に受益感が及ぶような施策にしなければならないのです。
 また、文化芸術は京都市の得意分野ではありますが、専売特許ではありません。真に「京都市ならでは」の施策にするためには、京都にしかない寺社仏閣等のロケーション、地の利を活かす必要があります。
 更に、文化芸術だけでなく、京都市ならではの子育て施策の実施に向け、先に挙げた寺社仏閣に加え、京都に存する企業の協力を引き出すことの重要性をあらためて強調しました。
 現在、子育て施策を主戦場に、各自治体の「若者呼び込み合戦」が繰り広げられています。現在の競争のトレンドは負担軽減に向けた直接的・金銭的な支援になっており、京都市としても施策の充実が求められますが、今後、国制度の充実や各自治体の支援が飽和状態になってくれば、各自治体ならではの環境・支援が重要視されるようになるはずです。これは、代表質問で例にあげた、ふるさと納税の返礼品競争がまさに同じ変遷を遂げていることからも予想されます。
 他都市に負けない施策の充実と、「ならでは」の支援の研究・実施、両面の取組みが必要です。

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