①【交通局】駅ナカの活用
これまでから経営改善のために、駅ナカビジネスの充実と連携を求めてきましたが、今年度の予算案では、これまでは事業展開できなかった小スペースで、自動販売機(飲料だけでなく食料等を販売)やワゴン販売が実施検討されています。
現在、駅ナカビジネスが展開されているのは、乗降客数1日2万人を越えるかどうか(コロナ禍前が参考値)が基準となっていますが、今後、更なる取組みを考える上では、2万人に達しない駅において、設備投資を抑えつつ事業展開できるアイデアを実現していくことが重要です。利用客の利便性の向上につながり、わずかでも賃料等で収益増につながる事業を、民間企業のアイデアも広く受入れながら、実施していかなければなりません。
また、もう一つの観点として、駅ナカ自体を目的地にしていくような取組みも求められます。駅ナカのスペースを一定の条件で地域や地元飲食店等にイベントやマルシェ開催のために開放することで、先の賃料を得るという目的は薄れるものの、地下鉄に乗る方はもとより、乗らない方も駅に呼び込むことによって、地域の賑わい創出や、地下鉄事業に対する市民理解の醸成に結びつくはずです。
この間、財政難が報じられるたびに、地下鉄、とくに東西線は「悪役」にされがちでした。日頃、地下鉄に乗らない市民からすれば、建設費用の高騰や利用客数の低迷により市の財政に影を落とす東西線に批判が集まりやすいのはやむないことでもあります。
だからこそ、地下鉄駅を市民・地域・地元零細事業者に開放することで、生活のなかに地下鉄を感じていただき、理解の促進をはかることが求められるはずです。
地下鉄椥辻駅には、市民が創作物を展示できるスペースがありますが、それに止まらず活発に駅ナカを利用できるよう、積極的な取組みが求められます。
②【交通局】定期券利用の回復
交通事業を飲食店に例えると、「観光客は一見さん、定期券利用者は常連さん」であり、経営の安定化には定期券利用の増加・回復は不可欠です。
コロナ禍を向かえて改定された経営ビジョンには、収束後も定期券利用は通勤・通学ともに15パーセント程度減少するとされていましたが、R4年度の段階で通勤が7~9パーセント減、通学が16~22パーセント減、また現状の見込みでは双方とも5パーセント減くらいにまでは回復するとなっています。
これまでから、関東の私鉄事業者で実施されている定期券利用者に対するサブスク型サービスの実施を提案し、予算案には示されていましたが、未だ実施には至っていないなど、定見利用の回復に向けた、定期券に付加価値をもたせるサービスの実施が求められます。
週に1,2日はテレワーク等で出社しないという出勤形態は今後も一定続くことが想定されるため、定期券を取得するかどうか迷う層が、取得にいたるインセンティブを生み出すサービスの研究を求めました。
③【産業環境局】宿泊施設との連携
今年も台風2号による大雨等、自然災害への供えが急務となる一方、観光需要の回復にともないオーバーツーリズム(観光客の増加による生活への悪影響)が再燃しています。
防災の観点はもとより、観光・宿泊施設への市民理解を醸成するために、これまでから災害時における宿泊施設の空き部屋を避難場所として活用する取組みを発展させていく必要性について質問を続けてきました。
コロナ対策ということにとどまらず、災害における宿泊施設の協力を引き出すことは不可欠です。
防災だけでなく、宿泊施設の優良的な取組みを紹介するなど、これまでから情報発信に注力しているところですが、もっとも市民に身近で関心の強い、防災の観点での協力を深めることの重要性を観光政策の理解促進の観点から強調しました。
また、台風など災害が予見される場合において、土砂災害や河川の氾濫に対して危険な地域の方が、事前にホテルに宿泊するという事前避難についても他府県でははじまりつつあります。災害時に事前避難を求める市民に対して、宿泊施設を安価に提供できるサービスについて実施検討をすることについても提案しました。
市民にとっては有責性の薄い宿泊施設ですが、災害時や日頃の生活において「ホテルがあってよかった」と思える取組みをいかに引き出すかが求められます。
春の「京都非公開文化財特別公開」に音羽山中の法厳寺が初参加されます。(山科からは随心院も参加)かの天智天皇の作と伝わる十一面観音菩薩や内海氏による大蛇退治を記した絵巻など貴重な文化財が公開されます。
法厳寺へはふもとから50分ほどですので、春のハイキングを兼ねてぜひお出かけください!
法厳寺は4月17日~21日、29日~5月7日
随心院は4月22日~5月14日
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緊急事態宣言下をのぞき、街頭活動を続けてきました。
京都市会での議論や、重要テーマについて報告することはもとより、道行く皆さんのお顔を見ることが大事だと感じています。
その時々で、明るい表情、暗い表情、世の中のムードが強く表れています。通勤・通学、思いは様々ですが、ひとりでも多く明るい気持ちでお出かけいただけるよう、社会の課題に向き合わなければと痛感します。
また、一方的に訴えるだけでなく、一言でもご意見・ご要望をいただくことが最も励みになります。ぜひ、山科のまちかどでお見かけの際は気兼ねなくお声がけください。
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発信10号に掲載したわが会派の予算要望が実り、令和5年度予算には、公立中学校の全員制給食実施に向けた調査費が示されました。費用等を度外視した要求ではなく、建設的な提案が実を結んだといえます。
今後は、いかに早期に実施できるか、より質の高い給食を提供できるかが重要なポイントになります。
これまで同様のセンター方式でも、発注する個数が確定することで、品質や効率性の向上に繋がるはずです。
限られた予算のなかで、出来うる限りベストな方式での実施に繋がるよう、引き続きご意見を伺いつつ提案いたします。
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プラスチックのリサイクル促進のため、令和5年4月から、これまで燃やすごみとして捨てていただいていたプラスチック「製品」も、「容器」と「包装」と一緒に資源ごみとして分別回収されます。100%プラスチック素材のものに加え、大部分がプラスチック素材のもの(おもちゃ、ハンガー等々)も対象になります。
燃やすごみから資源ごみになるため、家計にも優しい分別といえます。
また、資源ゴミから異物を除去する工程は手作業で行われています。残念ながら、注射器や刃物など、危険物等が混入し続けています。最悪の場合には、作業にあたる方が怪我をするケースもあるため、ぜひ正しい分別回収にご協力ください。
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「京都はぐくみアプリ」は、京都市独自のアプリとして子育ての情報発信を担ってきましたが、開発から8年が経過し、様々な使いづらさを指摘いただくようになりました。
そこでまず、アプリを開発・運営する会社に訪問し、アプリを運用する肝を伺いました。その中で、「はくぐみアプリ」がウェブビューという形式になっていることが情報表示の遅さ等に繋がっていることも知りました。しかし、根本から作り変えるには予算が掛かります。
そこで昨年2月市会の代表質疑で、民間事業者のアプリ導入について提案しました。他都市の状況を調査すると、導入には初期費用がかからず、年間費用も現在のアプリのランニングコストと同等であることが明らかになりました。
数回にわたり利便性向上を求めてきたところ、今予算に「はぐくみアプリ」のリニューアルが示されました。使いやすさの向上に加え、予防接種のスケジュール管理等、母子健康手帳機能の追加等、子育てをする上でニーズの高い機能が拡充されます。
また幅広い年代の情報発信に向けて、AIチャットボットの活用も進められます。アプリは機能を絞って、ホームページと役割分担をすべきという点も指摘してきたところです。今後も、子育て施策の充実に努めます。
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令和5年度の予算の最も大きなポイントは、22年ぶりに収支の均衡を達成したという点でした。約2年前の財政危機の表出よりはるか以前、平成14年から京都市が抱える財政の根本課題に一定解決の道筋が見えたことは喜ぶべきことです。
しかしながら、令和3年度に想定されていた予算不足約236億円に対し、人件費の削減や施策の見直し等、行財政改革の効果による収支の改善は約64億円にとどまり、残る172億円は税収の増加や、国からの交付税の増加によるものです。税収・交付税ともに今後も同規模の額が期待出来るかは不透明であり、収支の均衡を継続するためには緊張感をもって不断の改革が求められます。
また、「財政が危ない」という情報が想定以上に広まった後に、「財政が回復した」と発信しても、負のイメージを払拭することは叶いません。改革に対する市民理解を促進し、京都市のイメージを向上するためには、歳出削減だけでなく「お金の使い道を変えて」必要な施策にお金を付け替えることが重要です。とくに納めていただいた税に対して、受益感をもっていただき、施策の効果が直接感じられる仕組みづくりがなければなりません。同時に、財政難により傷ついた居住地としてのイメージの回復が急務であり、人口減少対策のためにも、「住みたい」「子育てがしたい」と思っていただける京都市に向けた徹底した取組みが必要です。本予算では子ども医療費支給制度の拡充(上限月1500円→1医療機関月200円)など、前向きな改革も示されており、更なる直接支援を広げられるよう提案を続けます。
また、行財政改革の市民理解に向けて、職員の給与カットにより積み立てられる50億円の基金の使い道について、物価急高騰に苦しむ市民の支援に充てるべきと要望しています。
財政課題を克服するためには、歳出削減と歳入増加の両面が求められます。古都・京都を守りながら、現代の都市・京都市を発展させるメリハリある都市計画を求めてきましたが、今、都市計画の見直しが進められています。
単なる規制緩和に終わらないよう、しっかりと中身を精査しなければなりませんし、都市計画の見直しを契機に、山科区・京都市東部エリアのまちづくりの重要性をより一層、全市的な議論としなければなりません。
発展の出発点となる山科駅周辺の魅力向上に向けて、民間の力を活かした精力的な取組み、とくに休止しているラクト健康文化館の活用については注視しています。
少子高齢化、老朽化等々、残念ながらまちは放っておけば、どんどん衰退します。まちを守り、持続可能に発展するための変化、改革が必要だと確信しています。
地域に寄り添い、様々なご意見を伺いながら、活力ある山科づくりに向けて提案を続けてまいります。
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〇令和5年度予算と今後の改革
今予算の最も大きなポイントは、22年ぶりに収支均衡を達成したことです。令和3年度予算では、236億円の歳入不足が措定されていたところから、行財政改革による64億円の歳出削減に加え、想定外の税収増と交付税の増加により172億円の歳入増が見込まれることで、歳入と歳出が均衡し、赤字補填のための特別の財源対策から脱却することが出来ました。多額の赤字により、多額の公債償還基金の取崩しが行われることこそ財政難の根源ですから収支の均衡は大きな成果と評価出来ます。
しかし今後を見据えると、税収の維持、交付税の確保には不安定要素が多く、またこれまで取り崩した505億円の基金を積み戻す必要もあり、まだまだ財政を正常な状態に戻すには厳しい姿勢で改革が求められます。
また、改革に対する市民理解の醸成は一層難しくなると言わざるを得ません。「財政破綻を回避するために」負担にも理解を求めてきたところですから、財政の回復を発信する一方で改革を継続することは説明が複雑になります。
市民理解を進めながら、改革を貫徹するには、歳出削減ではなく新たな施策に予算を付け替える、削る方に目が行くのではなく、出来るようになったことに注目される改革にしなければなりません。求められる施策を実施するための予算をどのように捻出するか、施策の見直し、再構築を進める、前向きな改革を徹底しなければなりません。
昨年9月市会の代表質問では、保育所等に対する補助金の見直しによって捻出された13億円については、出来れば全部、同じ子育ての施策に付け替えるよう求めました。今予算では、子ども医療費助成の拡充(1医療機関あたり月200円)が示されており、その市の負担額が13億円とされています。
保育士の処遇改善については新たな制度構築をしていかなければなりませんが、昭和47年の開始以来、使途や目的があいまいになっていた補助金を見直し、子育て世代を直接支援する施策に予算を付け替えることについては多くの理解が得られるはずです。
同時に、補助制度については、保育士等に対して、直接給付できる制度の構築を求めました。保護者に対しても、保育士に対しても、直接敵に施策の恩恵が伝わる制度を目指すべきです。
更に、改革に対する市民理解を求める上で、職員の給与カットにより財政調整基金に積み立てる50億円について、物価の急高騰に苦しむ市民の支援に用いるべきだと主張しました。
答弁にもあったように、財政調整基金は災害などのやむを得ない状況で取り崩すべき基金でありますが、現下の物価高騰は数年どころか数十年レベルの異例の状況であり、生活への影響は災害級であること、加えて、職員の給与カットは改革に対する市民理解を促進するための取組みであり、困窮する市民に対する支援に財源を活用することが本意ではないか、と訴えました。
前向きな改革を貫徹しながら、集中して市民理解の醸成に取り組むことが今後の市政運営に求められます。
〇移住・定住プロモーション事業
今予算では、人口減少、とくに若年・子育て層の市街流出を最大の課題として対策が示されています。若年層の流出が進めば市内の人口構成がさらに乱れ、現役世代が目減りすることで、福祉施策の維持が一層困難になります。人口減少対策は喫緊の課題であり、どこまで徹底して、効果的に取り組むことが出来るか検証し、求めていかなければなりません。
京都市ではこれまでから、「住むなら京都」というポータルサイトを運用してプロモーションを続けていますが、来年度はその取組みを拡充するとしています。
その上で、私から重要だと求めたのは、魅力発信をする際に、自画自賛の「わがまち自慢」に終始しないようにという点、もう一つは、移住・定住を考える際に、京都市の課題点を明確化することです。
課題を明確にし、その課題・ハードルを取り払うことで移住・定住は促進されます。京都市に住むハードルの一つとして、答弁からも浮かび上がったのは住宅の確保です。市内中心部では地価が高騰し、また狭小な住宅が多いなどの課題があり、住宅の確保として注目されるのが山科をはじめとする市内周辺部です。
今後、都市計画の見直しにより、それぞれのエリアに応じた発展のポテンシャルが活かされる素地が整うことに加え、交通局、産業観光局、疎水に関わる水道局、教育委員会、子ども若者はぐくみ局など、局を横断的に山科・京都市東部エリアの発展の旗を振るように強く要望しました。
〇子ども達と文化芸術との出会いの促進
京都市で子育てをする魅力を感じていただくため、京都の強みである文化芸術とのふれあう機会を増進するとされています。
これまでから、子育ての負担軽減をする直接支援の充実に加えて、京都市ならではの支援を研究・実施することを求めてきました。
検証すべきは、子育てをされる方々が、文化的な経験を求めているのか、という点と、子どもだけでなく、保護者を巻き込んで体験していただくことです。
子育て施策は子どもだけでなく、保護者が効果を実感していただくことが肝要です。人口減少対策とするならば、実際に居住地を選択する保護者に受益感が及ぶような施策にしなければならないのです。
また、文化芸術は京都市の得意分野ではありますが、専売特許ではありません。真に「京都市ならでは」の施策にするためには、京都にしかない寺社仏閣等のロケーション、地の利を活かす必要があります。
更に、文化芸術だけでなく、京都市ならではの子育て施策の実施に向け、先に挙げた寺社仏閣に加え、京都に存する企業の協力を引き出すことの重要性をあらためて強調しました。
現在、子育て施策を主戦場に、各自治体の「若者呼び込み合戦」が繰り広げられています。現在の競争のトレンドは負担軽減に向けた直接的・金銭的な支援になっており、京都市としても施策の充実が求められますが、今後、国制度の充実や各自治体の支援が飽和状態になってくれば、各自治体ならではの環境・支援が重要視されるようになるはずです。これは、代表質問で例にあげた、ふるさと納税の返礼品競争がまさに同じ変遷を遂げていることからも予想されます。
他都市に負けない施策の充実と、「ならでは」の支援の研究・実施、両面の取組みが必要です。